1. トップページ
  2. 腹八分目
  3. うな重(松)・いちのや

うな重(松)

老舗ならではの上品な芳ばしさ

いちのや

埼玉県川越市松江町

子供の頃から「うな重」が大好き。昔から安くはなかったけど、今ほど高級ではなかった。どうして今はこうも高いのか。でも、高くても美味しいウナギを食べたくなっちゃう。どうせ食べるなら一流を食べたい。埼玉県の川越市には「いちのや」という老舗の名店がある。天保3年(1832)創業というから、かなり古い。とにかく川越でウナギと言ったらこの「いちのや」が一番有名かな。何度か行ったことがあるけど、本当に贅沢品だからなかなか手が出ない。でも食べたい。そして、この年、新型コロナによる非常事態宣言で影響で世の中は自粛ムード。なかなか外出はしづらい雰囲気。そこで「いちのや」は「テイクアウトで予防対策」という免疫力向上キャンペーンを始めていた。通常より割引価格にしてくれていたので、これはチャンスとばかりに飛びついてみた。テイクアウトとはいえ、高級感ある紙の弁当箱で上品な感じ。蓋を開けると芳ばしい焦げの匂い。ホカホカのうちにさっそく頬張ってみると、ふんわりと柔らかながらも芳ばしく焼けているバランスがとても新鮮。秘伝のタレも、甘すぎないところが昔ながらのうな重って感じ。素朴というより、大人の味って感じ。他の蒲焼きとは何が違うのか?一般的な関東風は白焼きしたのち蒸し、タレをつけて焼き直すのだけど、いちのやは、白焼きせずに生のまま蒸してから焼くのだそう。それがこの微妙な食感に変化を与えているのかな。外側はカリッとまでは行かないまでもしっかりと焼き目が入って、それでいて中はふんわり。蒸しているので余計な脂も感じないから非常にあっさり。また、タレもサラサラとしたタレなので、そのあっさり感が相乗効果で癖を感じさせない。ウナギ本来の味を感じるような気がする。また、焼き立ては旨い。なんといっても味がはっきりとしている。冷凍ものとかだと、どうしても味がしみ込んでしまって、少しボケてしまうけど、焼き立ては表面、皮、身がそれぞれ個性を出しているよね。やはり、いつも食べている冷凍ものとは一味も二味も違うね。そんな感じで無我夢中で食べてしまう。上品にゆっくり食べるのもありだけど、やはりうな重はガツガツと食べるのが最高に美味しいと思うのでした。
2020.04