奈良県
かみゆおんせん・そんえいこうしゅうよくじょう
上湯温泉・村営公衆浴場
秘湯ムード満点の村営露天風呂
奈良県の最南端、十津川村は日本一大きい村として有名です。周囲を深い山々に囲まれた辺境の地ですが、個性的な温泉が多く、観光客にも人気があります。上湯温泉は十津川の支流、上湯川沿いにある小さな温泉地です。そこに秘湯ムード満点の素朴でワイルドな温泉があると聞いてやってきました。国道168号線から上湯川沿いの細い道を行き、しばらくすると露天風呂用の狭い駐車場があります。県道ですがけっこう狭い箇所が多く、すれ違うのが大変なところもあるので、運転には注意が必要です。また、途中には十津川名物の人力ロープウェイの「野猿」があったりと、一見何もなさそうな山の中ですが、観光的要素も意外と多そうなところです。駐車場から少し歩いて、谷に下りていくような細い小道を行くと、そこから二股に道がわかれていました。右側は少し上流にある神湯荘が所有する露天風呂で、左側へ行くと村営の公衆浴場のようです。上湯川沿いにすぐに施設を見つけますが、公衆浴場と呼ぶにはおこがましいような、質素で怪しい雰囲気の浴場というか湯舟がありました。湯舟は上流と下流と、２つあるようでどちらも洞窟のような閉塞的な空間の造りになっています。ゴロタ石を組んでコンクリートで固めただけの簡素な湯舟ですが、本当にここが「村営の公衆浴場」なのか不安に思うような佇まいです。ゴツゴツとした岩肌がそのまま壁になっていたりと自然の趣きがあり、とてもワクワクしてきます。管理人は常駐しておらず、ただ、がっちりとした小さな料金箱があるので、しっかりと管理された浴場だというのはわかりました。料金を払ってさっそく温泉を楽しみますが、脱衣所も簡易的なもので、雨風は凌げるけど、本当にただ露天風呂があるだけという感じも野趣溢れていていいムードです。お湯は無色透明の綺麗な湯です。源泉はどうやら80度以上もある熱湯だそうで、とにかくものすごく熱いです。川の水なのか山の清水なのかは分かりませんが、冷たい水が黒いホースから注がれていたので、湯舟では快適な温度で楽しむことができました。それにしてもほんとうに静かなところで、お盆は過ぎているとはいえ、まだ８月も半ばだというのにほとんど人は来ませんでした。岩の間から外を覗くと、そこにはすぐ川が流れています。緑が覆い重なるような谷間の渓谷美を堪能しながら、ザワザワと流れる水音を楽しめました。結局、入浴している間は終始ずっと独占して利用できましたが、川のせせらぎを聞きながらの入浴は最高に気持ち良かったです。お湯は透明でサラサラした感じ、泉質は重曹炭酸泉ということで、炭酸の含有量は日本でも屈指だとのこと。事前の調査不足で実際には確認していませんが、川の対岸の河原には温泉があちらこちらから湧いていて、少し掘るとちょっとした自分だけの露天風呂ができるそうです。また、次回にチャレンジしてみようと思います。
掲載: 2000/01/01
Data
- 所在地:奈良県吉野郡十津川村出谷
- 入浴 :１９９９年８月
- 泉質 :硫黄泉
- 泉温 :源泉８５度
- 形態 :公衆浴場 混浴 （男女別？）
- 効能 :神経痛・皮膚病・消化器病など
- 露天風呂:あり
- 脱衣所:あり(簡素なもの)
- 開放度:☆☆☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 穴場度:☆☆☆
- 野趣度:☆☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆
- 景色 :☆☆☆
- 総合評価:☆☆☆
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