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鹿児島県

やじがゆおんせん・だいこくゆ

弥次ヶ湯温泉・大黒湯

雰囲気ばっちり、レトロで味のある共同浴場
九州薩摩半島の南端付近に指宿市があります。海岸を掘ると熱気で出てきて天然の砂湯が楽しめることで有名な指宿温泉のあるところです。指宿は古くは「湯豊宿」と呼ばれていて、古くから温泉が豊かで人々に利用されてきたといわれているそうです。市内には源泉が800以上もあり、1日の湧出量は約12万トンもあるというとんでもない温泉天国なんです。そんな指宿に弥次ヶ湯温泉という情緒あるレトロな共同湯があるという噂を聞きつけていってみたのですが、これがまた想像以上のレトロっぷりで驚きました。指宿の中心地からもすぐ近いところなのですが、ここだけタイムスリップして過去の世界に迷い込んでしまったのかと思うくらいに、いにしえの情緒溢れる佇まいなのです。外観はなんともレトロな造りの構えでしかも古〜い効能書きが掲げてあって、まるで資料館のようなムードです。人の良さそうなおばあさんに料金を払って中に入ると、これまた期待を裏切らない素朴な薄暗い浴室がありました。脱衣所は簡素な木の棚と、縁側のような腰掛だけで、一段下がったところに湯舟がありました。湯舟は質素な四角いコンクリートでできているので味気ないようですが、歴史を積み重ねたように赤茶けた感じがでていてなかなかいい味を醸し出していました。湯舟の底には木の板が敷いてあり、肌触りもよくて優しい感じがありました。42.5度とちょっと熱めの湯舟はほんの少し赤茶色に濁っていました。すぐ目の前の上がり湯には熱い湯がかけ流しになっていて、こちらの温度は53.7度もあってかなり熱かったです。こっちは透き通った湯で、舐めてみるとほんのりとショッパイ感じと鉄のような金属的な味がしました。天井や壁は最近改装したばかりなのか新しい感じだったのですが、ちっとも雰囲気が壊されていない造りでうまく工夫しているようでした。浴室にはさらに隣に続いた別室にもうひとつ湯舟がありました。女湯は別にあったのでこっちも男湯なのでしょうね。入ってみるとこちらがまた熱いのです。温度は47度もありました。でもジーンとしびれる感覚を楽しみながらさっと浸かるのも、むしろさっぱりとして悪くはないなぁと思えました。こんな素朴で、それでいてしっかりと個性をアピールしている温泉。それを日常的に利用する人々。このローカルな雰囲気はまさに文化財級です。いつまでもこの雰囲気のまま、残っていてほしいと願うのでした。
掲載: 2001/02/19
Data
  1. 所在地:鹿児島県指宿市十町
  2. 入浴 :2000年10月
  3. 泉質 :ナトリウム・カルシウム-塩化物泉
  4. 泉温 :源泉72度 浴槽A42.5度 浴槽B53.7度
  5. 形態 :温泉宿 男女別
  6. 露天風呂:なし
  7. 気軽度:☆☆☆
  8. 下町度:☆☆☆
  9. 鄙び度:☆☆☆
  10. 素朴度:☆☆☆☆
  11. レトロ度:☆☆☆☆☆
  12. 総合評価:☆☆☆☆