群馬県
おおしまこうせん
大島鉱泉
喧騒を忘れさせる鄙びが渋い
富岡市の郊外、鏑川の支流沿いにポツンと隠れるようにしてある鉱泉宿が大島鉱泉です。それほど山深い場所ではないけれども、周りは自然に囲まれて少し寂れた雰囲気が漂っています。宿の裏手にクルマを駐車させようとしたら、放し飼いにされている鶏が沢山いてビックリしました。クルマを降りると今度は白い犬がお出迎えしてくれました。他に客の気配は無く、見たところ温泉宿のようには見えないので恐る恐る玄関に近づくと、そこは宿というより銭湯といった雰囲気で男湯と女湯の暖簾が正面で揺れていました。なんだかとても鄙びた感じが無性にそそられます。浴室前のスペースにはソファがあり、壁には古い宿の写真や草花の写真、魚の剥製の額などが飾ってあり、田舎の民家のような懐かしさが漂っています。ホントに静かなところで、時計の針のチクチクといった音だけが響いていて、なんだか時間の流れがここだけ緩やかな感じがしてきます。建物の中は厨房の方で人の気配はするものの他に客が誰もいないようなので利用できるか心配でしたが、入浴の旨を伝えると快く迎えてくれてひと安心。なかなか接客の感じもいいものでした。脱衣所に入ると長イスとカゴが置かれただけの非常にシンプルなもので、素朴というかローカルなムードが落ち着きを感じさせてくれます。入口付近には温泉分析表も掲げてありました。浴室は小ぢんまりとしたタイル張りのもので、まさに地方の共同浴場といった感じがします。湯舟の奥にはタイルに書かれた富士山と滝の壁画が一層銭湯らしさを醸し出していました。浴室には洗い場がいくつかあり、そこには石鹸が用意されています。軽く体を流して湯舟に入ろうとしたら裏にまわっていたおじいさんが顔を出し湯加減を聞いてきます。はじめ熱いように思われた湯でしたが、それは表面だけでかき混ぜるとなかなかの適温でした。温泉は無色透明で川の水のような臭いが少々感じられる素朴なお湯で、とても滑らかでさらさらとした感触がありました。かなりキメの細かい湯といった印象を受けます。水素イオン濃度が9.2というアルカリ性の湯で、ツルツルっとした感触もあって想像以上に気持ちのいいお風呂でした。地元の方々に愛されつづけている宿という話を耳にしましたが、本当にそうなのだと雰囲気が教えてくれました。いつまでも末永くこのままありつづけて欲しいと願う温泉なのでした。
掲載: 2003/11/29
Data
- 所在地:群馬県富岡市大島
- 源泉名:大島鉱泉（榊の湯）
- 入浴 :２００３年５月
- 泉質 :単純硫黄冷鉱泉
- 泉温 :源泉17.1度 湯舟40.2度
- ＰＨ :９．２
- 蒸発残留物:0.84g/kg
- 形態 :鉱泉宿 男女別
- 効能 :慢性皮膚病、慢性婦人病、きりきず、糖尿病など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆
- 気軽度:☆☆
- 穴場度:☆☆☆
- 鄙び度:☆☆☆
- 秘湯度:☆☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆☆
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