埼玉県

あらきこうせん

新木鉱泉

美肌効果もうなづけるツルツルの温泉
埼玉県秩父市はハイキングや札所巡りなど観光都市として有名です。秩父札所巡りは室町時代の中頃から続くといわれ、三十四ヶ所のお寺を巡る修行です。その札所3番常泉寺と札所4番金昌寺の中間にある鉱泉宿が新木鉱泉です。横瀬川沿いに建つ小さな和風旅館で、県道から細い脇道を入ったところにあります。脇道はクルマはすれ違うことができないぐらい細い道なので、運転には気を遣います。辿り着くとそこには広めの駐車場があって、その奥に民芸調の渋い建物が見えてきました。新木鉱泉は文政10年(1827)に、おきくさんという方が鎮守の森(恒持神社)の導きにより発見したのが始まりだとのこと。その後、秩父札所巡りの門前宿として栄えたという歴史があるそうです。200年近い歴史がありますが、まさしくその歴史を感じさせるような雰囲気が品良く漂っていました。温泉は大浴場の他、一部の客室には露天風呂も付いているそうです。大浴場は玄関右手側にある浴舎にあります。浴舎に上がると、まずは小さな待合室と貴重品用のコインロッカーがあります。粋な形の照明があったり花が飾られていたりと、素朴ながらも品格の高さが伺えます。脱衣場に入ると、壁側の棚に脱衣棚が並び、反対側は全面が大きなガラス窓になっていて浴室が見えます。正面奥には陶器の小洒落た洗面台がありました。浴室は内湯と露天風呂があります。内湯は左右両脇にボディソープ、シャンプー、リンスの用意された洗い場があり、中央には大きな湯舟があります。(ほこら)のような湯口から無色透明の湯がジョロジョロと注がれていました。また、出入り口の脇には樽があり、源泉をそのまま利用した水風呂がありました。水風呂はとても冷たいので、そのままでは入りづらいのですが、この水風呂を味わってもらおうとわざわざサウナも作ったんだそうです。サウナはとても小さなものですが、しっかりと汗を流せる高温サウナになっていました。また、水風呂の注ぎ口の上にはコップも用意されています。試しに飲泉してみましたが、ごくごく微妙に甘苦いようなじんわりとした後味を感じましたが、ほとんど無味無臭でした。抵抗無く飲めると思います。湯舟の湯はほとんど無色透明で、見たところ何の変哲もないものですが、湯舟に浸かってみるとその特徴に驚きます。それは肌にまとわり付くようなツルツル感です。湯そのものはサッパリとしてとても軽い湯なのですが、肌をこすり合わすとスキンオイルでも塗っているかのようなツルリとした滑らかな感触が伝わってきます。また、湯舟が木造であるためか、木の香りがプンプンと匂って、とても安らかな気分になってくるのでした。これは癖になってしまうような魅力的な湯です。続いて露天風呂に向かいます。こちらは「親子露天風呂」と名付けられています。どうして親子なのかと言うと、まずは大きめの円形の露天風呂があり、その隣に四角形をした小さな湯舟、さらにその隣には小判型をした小さな湯舟があるのです。まるでカルガモの親子みたいに並んでいるのでした。湯舟はどれも木造で、床も板張りになっています。小さな湯舟はそれぞれ一人でいっぱいの大きさです。四角形の湯舟は大人が一人入るとちょうどいっぱいになるぐらいの深さと大きさで、小判型の方はやや浅くなっていました。両足を突き出して寝湯にするとちょうどいい感じです。これはなかなかユニークな露天風呂ですね。露天風呂は周囲を塀で囲まれているので景色は期待できません。塀の間から外を覗いてみると、周りは畑だったのでこれは仕方がないでしょう。とてものんびりとした気分でゆっくりと寛ぐことができました。小さな宿ですが雰囲気は抜群で、札所巡りのみならず観光の拠点として、また、癒し旅のお宿に最適の旅館だと思いました。
掲載: 2008/04/20
Data
  1. 所在地:埼玉県秩父市山田
  2. 入浴 :2007年3月
  3. 泉質 :単純硫黄冷鉱泉(低張性・アルカリ性・冷鉱泉)
  4. 泉温 :源泉14.8度
  5. 湧出量:毎分8.5リットル
  6. PH :9.4
  7. 蒸発残留物:0.436g/kg(110度)
  8. 形態 :鉱泉旅館 男女別
  9. 効能 :神経痛・リウマチ・胃腸病・冷性・外傷・美容効果など
  10. 露天風呂:あり
  11. 開放度:☆☆☆
  12. 清潔度:☆☆☆☆☆
  13. 気軽度:☆
  14. 穴場度:☆☆☆
  15. 秘湯度:☆☆☆
  16. 素朴度:☆☆☆
  17. 優雅度:☆☆☆
  18. 異色度:☆☆☆
  19. レトロ度:☆☆☆☆
  20. 景色 :☆☆
  21. 総合評価:☆☆☆