富山県

いくじだいいちおんせん

生地第一温泉

静けさ漂う気品ある旅館でじっくりと過ごす
富山湾の東側、生地の港の傍らに建つ温泉宿が生地第一温泉です。港の周辺は住宅密集地になっていて、その中にポツンと建っているといった感じの温泉宿でした。船が通る際に架かっている橋が動くという、旋回可動橋のすぐ目の前にある旅館ですが、入り組んだ場所にあるので、ちょっとわかりづらいかもしれません。GPSナビに従ってクルマを走らせたのですが、どんどん住宅街に入っていくので不安になってしまうほどでした。派手さはまったくありませんが、客室20室ほどの中規模の旅館で、そこそこ立派な宿という印象をうけました。玄関部分は改築したのかわりと新しいように見えます。浴場は館内を少し奥へと入っていったところにありました。そのすぐ手前にはティーラウンジと書かれた休憩室があますが、一昔前、いや二昔前の会議室か待合室といった感じで、大きなイスとテーブルの応接セットが用意されています。なかなか高級感はあるのですが古びてきているのと時代錯誤な雰囲気が、冷たく重い感じでゆっくりと寛ぐって感じのものではありませんでした。かつてはとても高級感のある、煌びやかな空間だったのでしょう。浴場は広々とした大きなものです。内湯のみですが、半円形の大きな湯舟に巨石が沈められていて、とてもゴージャスな雰囲気のものです。外側はガラス窓になっていて、その外には緑がいっぱいで落ち着いた雰囲気です。男女を仕切る壁は屏風のようにジグザグに折られていますが、がっちりとした壁です。非常に風情のある個性的な浴場です。ちなみにこの浴場は姫川産のヒスイをつかった石風呂なのだそうです。施設が特別優れているわけでも、新しいわけでもありませんが、好感の持てるとてもいい感じです。湯は無色透明で、循環されているのかあまり湯舟からは溢れ出ていません。しかしながら、湯舟に人が入るとそれなりに溢れ出るので、使った分だけ継ぎ足される方式のようです。見た目はあまり特徴のない湯ですが、浸かっていると妙に体がポカポカと温かくなってきます。とてもサラサラとした湯なのですが、塩分を含んでいるようで舐めてみるとマロヤカな塩味がありました。パンフレットによると、この一帯はかつて葦原と沼の湿田地帯だったそうで、鳥が塩分を含んだ湧き水で傷を癒していた程度しか利用されていなかったそうです。それを活用しようと湯治場を開いたのが、この温泉の始まりなのだそうです。現在はすっかり住宅地に変わり、当時の面影はありませんが、なめらかなお湯と、優雅な浴室は、静かに温泉を楽しむ者にとっては嬉しい旅館となっているようです。
掲載: 2009/01/17
Data
  1. 所在地:富山県黒部市生地経新
  2. 入浴 :2007年11月
  3. 泉質 :含硫酸若土食塩泉
  4. 泉温 :源泉16.0度
  5. 掘削深度:4メートル
  6. 形態 :温泉旅館 男女別
  7. 露天風呂:なし
  8. 開放度:☆☆☆
  9. 清潔度:☆☆☆
  10. 気軽度:☆
  11. 穴場度:☆☆☆
  12. レトロ度:☆
  13. 景色 :☆☆
  14. 総合評価:☆☆☆