沖縄県

ひのでゆ

日の出湯

那覇にも残る南国の銭湯文化
日本の最南端の沖縄県。常夏のイメージがある通り、年間を通して気候が温暖で、あまり温泉のイメージがないトロピカルなところです。確かに天然温泉も珍しいのですが、それ以前に入浴施設を探すことすら難しいのが沖縄県です。以前は銭湯の文化も持ち込まれたもののすっかり廃れてしまい、老朽化した銭湯がわずかに点在するのみとなっています。また、その残った銭湯も老朽化や後継者の問題により次々と廃業しています。しかしながら、沖縄の銭湯の文化は非常に独特で、他の地域にはあまり見られない特徴を持っているので、何とか残していきたい遺産だと思います。その文化財的遺産のひとつ、那覇中心地からすぐ、那覇高校の近くの泉崎にある「日の出湯」に訪れました。最初、木曜日の夕方に訪れたのですが、事前に調べてあった日曜定休に加え木曜日も定休日となっていて入浴できませんでした。どこの銭湯もそうなのですが、運営維持のコストがかさんでくるので営業時間の短縮や縮小が目立ちますよね。気を取り直して翌日再度向かいました。場所は路地にちょっと入ったところで、沖縄らしい鉄筋の素朴な建物があります。(ひさし)の部分に大きく「日の出湯」の文字と温泉マークが書かれているのでわかりやすいです。入口を入るとすぐに番台があります。右側が女湯、左側が男湯になっていて履物を脱いであがりますが、非常に狭くてまた下足箱も見当たりません。履物はそこに脱ぎっぱなしにするのではなく、持って脱衣所に入ると浴場側に下足棚があるので、そこに置きます。浴場はオーソドックスな沖縄スタイルです。沖縄スタイルとは、脱衣所と浴場の間には壁がなく一体化していて、湯舟は浴場のど真ん中にひとつあります。周囲に洗い場がありますが、ちょっと高めの位置にあり湯と水のカランが用意されています。この銭湯もかなり年季を感じる佇まいです。異文化に飛び込んだんだなぁと旅愁を感じます。湯舟はわりと小さめのものです。湯舟に長く浸かる習慣の無い沖縄なので、ほとんどの方は体を洗った最後にちょこっと温まってから出るだけのようです。湯舟の周りに座って、桶で湯舟の湯を汲んで体を流すのが基本スタイルのようでした。周囲にも湯水の蛇口があるのですが、中途半端に高く、立たないと利用できません。しかしそのすぐ下に小さな洗面台のようなものがあり、底に栓が無いので溜めることもできません。初めての人は戸惑うかもしれませんがこれがなかなかユニークなもので、湯と水を流すとその小さな洗面台で混ざり合い、その下から温度調節された湯が出てくる仕組みなのです。下に桶を置いて受け止めればいいわけなのですね。温度調節も自由自在だし、なるほどって感じです。体をひととおり洗ったところで湯舟に入ります。やっぱりどっぷりと湯舟に浸からないと落ち着きませんね。真夏の盛りに入りましたが、蒸し暑いときには湯にどっぷり浸かるのが不思議と気持ちいいものなのですよね。沖縄の銭湯は基本的にぬる目です。ここも少しぬる目で非常にいい温度でした。湯は温泉ではないのですが、ごく微妙に濁りがありました。単なる汚れなのか地下水なのかはわかりません。湯から上がると汗がドッと出ますが、脱衣場にある天井のシーリングファンが強力でとても気持ちがいいです。いまや稀少価値が出てきた沖縄の銭湯ですが、絶滅してしまうのは非常に惜しい存在だと感じるのでした。
掲載: 2010/03/21
Data
  1. 所在地:沖縄県那覇市泉崎
  2. 入浴 :2009年7月
  3. 泉質 :温泉ではありません
  4. 形態 :銭湯 男女別
  5. 露天風呂:なし
  6. 開放度:☆☆
  7. 清潔度:☆
  8. 気軽度:☆☆
  9. 地元度:☆☆☆☆☆
  10. 穴場度:☆☆☆☆
  11. 鄙び度:☆☆☆☆
  12. 素朴度:☆☆☆☆
  13. 異色度:☆☆☆
  14. 景色 :☆
  15. 総合評価:☆☆☆