鹿児島県

かめのゆおんせん

亀乃湯温泉

昭和28年創業の麦飯石を使った人工温泉銭湯
垂水へと向かうフェリーが発着する鴨池港の近くは、大きな集合住宅が立ち並ぶニュータウンとなっています。その奥の昔ながらの住宅地の中にひっそりと亀乃湯温泉という銭湯があります。銭湯文化が深く根付く鹿児島なので、その素朴さを味わうために訪れてみました。住宅街の中にポツンとあるのですが、黄色い派手な壁の色が気になります。モダンな感じというわけでもなく、素朴なのに目立っているという感じです。さっそく利用しようと近づきますが、玄関が閉まっています。休業日に訪れてしまったのかと思いきや、営業は午後二時からということ。鹿児島市内の銭湯は早朝から営業しているところが多いので、珍しいなという印象です。ちょうどいいことにあと10分くらいで営業開始になるみたいなので、非常にタイミングが良かったです。扉が開いて営業開始となったので、さっそく飛び込みます。玄関入って正面の番台で料金を支払うと、右が女湯、左が男湯となっていました。大きな暖簾をくぐって脱衣所に向かいます。すごく小ぢんまりとした施設のようで、脱衣所もミニマムサイズです。しかしながらコミックが沢山おいてあったり、古いながらもマッサージチェアが無料で利用できたりと、サービス精神旺盛です。浴室に入ろうとすると、その扉の脇の「麦飯石温泉」という文字が目に入りました。あれ?ここは人工温泉なの?そうなんです。ここは天然温泉ではなく人工温泉なのでした。気づかないまま入ってしまっていました。まぁ、雰囲気は良さそうなのでせっかくだからじっくりと利用しましょう。浴室内も非常に小ぢんまりとしています。右側には五つ、左側には六つのカランがあり、中央に湯舟が並びます。すごく小ぢんまりとしているのに湯舟は細かく区切られていて、非常にバラエティ豊かな印象です。まず入口脇にあるのがサウナです。かなり狭いです。そして正面にあるのは水風呂です。甕を持った少年の像から水が注がれていて、何とも優雅な印象です。その奥には湯舟がありバブルバスとなっていて、一番奥には電気風呂と超音波風呂、そして浴室の隅にスチールの容器に入れられた麦飯石。湯は無色透明のサラサラとした湯。麦飯石なので目に見える効果などは実感できませんが、それなりに効果はあるのでしょう。汲み上げている地下水は鉄分も含んでいるとのことですが、そんなに成分が濃いわけでもないようで、普通の湯のようです。まぁ、普通の湯よりはキメ細かなしっとりとした湯という印象ですかね。また、浴室の手前には茶色に色づいた薬湯がありました。「じっこう」という漢方薬の入った湯のようです。漢方系のツンとした強い匂いがあります。もしかしてこれってあそこが痛くなる系ですかね。怖いのできっちりとガードして浸かります。すごく温熱効果があるそうで、体がポカポカと温まり、冷え性にもいいそうです。浴室の一番奥には「水風呂」と書かれた場所がありますが、そこは空っぽです。それに仕切の衝立があるなど、どう見ても水風呂のつくりではありません。元は打たせ湯だったのでしょうか。それにしてもこんな狭い浴室ながらも、小さなスーパー銭湯並みにバラエティに富んでいて、むしろカオス状態です。こんなに面白い銭湯にもかかわらず、たまたまそうだったのか、客は他に1名いただけでした。すごく穴場的な感じの銭湯ですが、歴史を感じる地域の銭湯という印象も受けました。小さいながらもじっくりと味わってきました。
掲載: 2021/04/16
Data
  1. 所在地:鹿児島県鹿児島市三和町
  2. 入浴 :2021年1月
  3. 泉質 :麦飯石温泉(人工温泉)
  4. 形態 :銭湯 男女別
  5. 効能 :疲労回復、肩のこり、あせも、荒れ性、神経痛、リュウマチなど
  6. 露天風呂:なし
  7. 開放度:☆
  8. 清潔度:☆☆
  9. 気軽度:☆☆☆
  10. 地元度:☆☆☆☆☆
  11. 素朴度:☆☆☆☆☆
  12. 景色 :☆
  13. 総合評価:☆☆