山梨県
くさしおおんせん
草塩温泉
静かな山間の集落にある素朴な温泉浴場
山梨県の南西部にある早川町。静岡県に隣接し、南アルプスの山々に囲まれたとても静かな山の町です。谷間沿いにいくつかの温泉地が点在しますが、とにかく不思議なくらい静かな町で、自然がいっぱいのところです。そんな早川町の入口にある草塩温泉を訪れてみました。早川沿いの県道37号線から少し入ったところにある日帰り温泉施設です。県道沿いにもいくつも幟旗が並んでいるので、気軽に立ち寄れる温泉施設のようです。県道からは橋を渡っていきますが、橋の先からはとても狭い道になります。道を間違えてしまったかなと思うくらい狭いのですが、集落の奥にその温泉施設はありました。とても素朴で小ぢんまりとした施設です。大きな施設を想像していたので、予想外に小ぢんまりとしていてびっくりしました。今回は真夏の土曜日の昼間に訪れたのですが、数台停められる駐車場にはクルマがありませんし、人の気配もありません。恐る恐る入っていくと、しっかりと営業中のようです。館内には演歌がガンガンに流れているので、営業しているのは間違いないでしょう。受付には誰もいないので、呼び鈴を鳴らすとどこから現れたのか、ご主人が出てきました。入浴をお願いすると、受付をしてくれますが、何故だか終始身振り手振りでの対応でした。浴室は右手奥にありました。突き当りに浴場入口があり、右が男湯、左が女湯となっています。脱衣場に入ると脇には棚、そしてガラス戸の先が浴室です。やはり誰もいないようです。浴室を覗くと床が濡れていないので、しばらく誰も利用していないようです。すると先ほどのご主人が現れて、カランの湯をジャージャー流しっぱなしにしていきました。どうやらお湯がすぐに出るように気を利かせてくれたようです。しかし、終始無言での作業。すごく職人気質を感じました。さて、さっそく体を流して湯舟に浸かります。湯舟は左右二つに区切られていて、どちらも無色透明の湯です。中央に大きな岩があり、その岩の穴から湯が注がれていました。右側は40度、左側は38度ぐらいのようです。ほんと微妙な温度差です。湯舟に浸かると、ツルツルとした滑らかな浴感があります。すごくさっぱりというかあっさりとした湯なのですが、しつかりとツルツル感を感じる優しい湯です。温度も真夏の暑い日だったこともあり、これでもぬるく感じないくらいのちょうどいい温度です。最初は少しぬるめだなぁと感じていた湯ですが、しばらく浸かっていると汗が噴き出て、体があたたまっているのがよくわかります。これはもしや温泉の効果なのかと、注がれている湯を確かめてみます。手ですくうと少しぬるい湯でした。そして味見をしてみましたが、ごくごく微妙にショッパイようなそうでもないような、ミネラルはそこそこあるなぁという感じの湯です。温泉分析表を見ると「ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉」とあります。やはりそこそこ塩分を含む温泉のようです。浴室内は真昼間ということもありますが、とても明るく開放的です。それもそのはず、天井部分には透明の波板の窓があって、そこから外光が射し込んでいるのです。浴室の規模以上に開放感がありました。それにしても誰も利用者がいないのが気になります。確かにわかりづらい場所ではありますが、そんなにアクセスが悪いわけでもありません。(多少悪いですが・・・) それに県道沿いにも幟旗が沢山あるので積極的にも感じますし、温泉の質もなかなかいい感じです。確かにこの一帯はとても静かな雰囲気だし、目立った観光資源もないので、そもそも観光客が少ないイメージです。すごく穴場的な雰囲気で、もったいないなぁと感じました。ちなみに、「食事」と書かれた幟旗も沢山並んでいたのですが、併設されているのは寿司屋です。東京日本橋で寿司屋を営んできた本格的な寿司職人のようです。寿司以外にも定食や麺類もあるようなので、浴後に気軽に食べることができそうです。今回は利用しませんでしたが、じっくりのんびりと利用したい温泉施設だと感じました。
掲載: 2024/01/27
Data
- 所在地:山梨県南巨摩郡早川町草塩
- 源泉名:草塩温泉
- 入浴 :２０２３年８月
- 泉質 :ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉(低張性弱アルカリ性冷鉱泉)
- 泉温 :源泉15.6度
- ＰＨ :８．０
- 電気伝導率:120.5mS/m
- 密度 :0.9991
- 蒸発残留物:716.6mg/kg
- 形態 :町営温泉施設 男女別
- 効能 :きりきず、末梢循環障害、冷え性、うつ状態、皮膚乾燥症など
- 露天風呂:なし
- 開放度:☆
- 清潔度:☆☆☆
- 気軽度:☆☆
- 地元度:☆☆☆☆
- 穴場度:☆☆☆☆
- 鄙び度:☆☆
- 秘湯度:☆☆☆☆
- 素朴度:☆☆☆☆☆
- 異色度:☆☆☆
- 景色 :☆
- 総合評価:☆☆☆
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